キャンセルカルチャーの学術的な分析について知りたいお方々は、池田光穂先生(文化人類学者、大阪大学名誉教授)がWEB上でまとめて下さった「コールアウト文化・キャンセルカルチャー」のご一読お勧め。中立的な立場から、否定派・肯定派の両方の多数の論文を紹介しています。無料で読めますよー。
アメリカではキャンセル・カルチャーの学術研究が盛んです。それは、アメリカでは左派による教員キャンセルの嵐が吹き荒れており、教員達にとって職を奪われる切実な問題であるから。この研究に関する学術書はグレッグ・ルキアノフ、ジョナサン・ハイト「アメリカンマインドの甘やかし」が最も有名
ジョナサン・ハイト、ジョセフ・ヒースらは、キャンセル・カルチャー研究で、現在は左派による教員キャンセル(学生らが集団で大学に圧力を掛けて教員を解雇させる)が吹き荒れているが、いずれこの手法を右派も使うようになり、大学は言論の府としての能力を完全に失うと予見、まさにそれが今なんですね
上記「The Coddling of the American Mind」の邦訳は、「傷つきやすいアメリカの大学生たち 大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体」(草思社)です。キャンセル・カルチャー(言論を政治で抑圧)を民主主義を滅ぼす脅威として分析していたハイトらが予見した通りになっているんですね...
草思社公式記事より。「本書の中で、そのような多くの事例が紹介されていますが、事態は典型的には次のような流れで発生・進行します。①教員や講演者が政治的に賛否両論ありうる意見や研究結果を明らかにする(略)②それを「差別的」などとして学生達が集団で糾弾。ときには暴力や脅迫も使われる」(続)
「大学側は学生達の行動について、是正指導や処罰を行わない。それどころか、学生達の行動に理解を示し、(教員の解雇の)要求を丸呑みする(略)教員は辞任を選ばざるを得なくなる。⑥教員達や学生達の間で、議論の余地ある見解を表明することに対する萎縮が起こる」(草思社公式記事)
研究自体が不可能に
研究自体が不可能に
アメリカでは、「傷つけられた」「道徳的に悪いことである」という大義名分が圧倒的に強く、「この論文によって傷ついたから執筆者は大学を解雇され永久追放されるべきである」「この論文は道徳的に悪いから(以下略)」という風潮が圧倒的で、「『傷ついた』のファシズム」になっていると分析している
また、過激な左派の学生達と手を組んでいる教員は、学生の力(キャンセルカルチャー)で他の教員を解雇できるので、学内で隠然たる政治力を持つことになる。こういった教員達は自分達の政治力を高める為にキャンセルカルチャーを称賛する論文を書く問題もあるとされますね。学内政治が学問を滅ぼす
日本や欧州は、米国ほどキャンセル・カルチャーが蔓延っておらず、学問の自由、学問の独立性が米国より高い。それは国家が大学を支援しており、大学が高額な学費に依存する度合いが低く、大学が高額な学費を払う学生のいいなりの米国と様相が異なるとされる。この点からも教育の公的支援は重要とされる
キャンセル・カルチャー問題の一因は、リバタリアニズムの限界、自由至上主義は、力(財力と政治力)の強いものが力の弱いものを無制限に支配することを肯定するので、極端な弱肉強食で、自由は失われる問題。大学が学生の学費に依存すると、力関係が学生>教員になって教員の立場が保障されなくなる問題
オバマ元大統領「本当に良いことをする人にも欠点はある。あなたが(キャンセル・カルチャーを使い)攻撃している人も、子供を愛しているかもしれないし、あなたと同じ意見を共有しているかもしれない」
異なる意見を述べたからといって、その人の全てを社会的に消そうとするのはおかしいと述べている
異なる意見を述べたからといって、その人の全てを社会的に消そうとするのはおかしいと述べている
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